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アドリアの風に揺れる、静かな青~ヴェネチアンブルー

2025/12/12

ヴェネチアンブルー

 




イタリア・ヴェネツィア。
石畳の小道を抜けると、突然ひらける水の都。


ゴンドラがゆるやかに行き交い、
古い建物の壁に、光と影が静かに揺れる。

その水面に映る青こそ、ヴェネチアンブルー。


青というよりも、少し灰を含んだ青緑。


かつて、ヴェネツィアの職人たちは
ガラスやモザイク、絵の具の中にこの色を閉じ込めてきました。


青には「思考を鎮める」「心を整える」力があると言われます。
でもヴェネチアンブルーは、それだけではない。


見つめていると、心の奥に眠っていた“感情の波”が
ゆっくりと動き出すような、そんな静かな力を持っています。




ヴェネチアンブルーは、イタリアの水の都ヴェネツィアが誇る、ガラス工芸と商業の歴史から生まれた、稀有な色彩です。

13世紀以降、ヴェネツィアはムラーノ島にガラス工房を集約させ、ヨーロッパ随一のガラス製造技術を独占的に発展させました。
彼らが作り出したガラスは、その透明度と色彩の美しさで世界中を魅了し、ヴェネツィアに莫大な富をもたらしたのです。

このムラーノガラスの青こそが、「ヴェネチアンブルー」の色彩イメージの核となりました。

コバルトなどの着色剤を用いた彼らの青は、ただ鮮やかなだけでなく、光を透過するガラス特有の「深み」と「複雑さ」を持っています。


太陽光の下、角度によって水面のように揺らぎ、見る者に異国情緒や洗練された美を感じさせます。


この色は、単なる自然の色を再現したものではなく、ガラス職人の高度な技術と、色を自在に操る商業的な力によって生み出された人工美であり、当時の人々に新しい価値観を与えたのでした。


『交易というリアリズム』と、『工芸という技術革新』によって世界に広まったヴェネチアンブルー。
その背景を知ることで、この青が持つ深みと魅力はさらに増してくるように思います。

いかがですか?

カラースクールT.A.A
藤田でした