『パンプキンオレンジ』とハロウィンの秘密
2026/10/07秋の夜長を照らす陽気な灯火
パンプキンオレンジ(Pumpkin Orange)
街を歩けば、どこかユーモラスな笑顔を浮かべたカボチャのランタンが目を楽しませてくれる季節ですね。
今回の「世界の色シリーズ」でお届けするのは、ハロウィンの象徴であり、収穫の喜びを伝える色、『パンプキンオレンジ(Pumpkin Orange)』です。
名前の由来とハロウィンの始まり
パンプキンオレンジは、その名の通り熟したカボチャの外皮を思わせる、黄みをしっかりと含んだ鮮やかで温かみのある橙色です。
ハロウィンの起源は、古代ケルト民族の新年を祝う秋の収穫祭「サウィン(Samhain)」。
ケルトの暦で10月31日は一年の終わりであり、死者の霊が家族を訪ねてくる日と信じられていました。
その際、悪霊や魔女を追い払う魔除けとして飾られたのが、野菜をくり抜いて火を灯した「ジャック・オー・ランタン(提灯ジャック)」です。
実は、アイルランドやスコットランドで始まった当初、くり抜かれていたのはカボチャではなく「カブ」でした。
白くてゴツゴツとしたカブのランタンは、現在のポップな印象とは異なり、まるで本物の頭蓋骨のような不気味さを持っていたといいます。
19世紀にアイルランドからアメリカへと移民が渡った際、大型のオレンジ色のカボチャが代用されるようになりました。
というのは、このかぼちゃ、アメリカ大陸で豊富に収穫できるのに加え、柔らかくて加工しやすい特徴を持っていたからです。
暗闇をパッと明るく照らすオレンジ色のランタンはたちまち定着し、現代私たちが親しむ陽気なハロウィンのトレードマークとなったということです。

ランタン用と食用は別物?
ハロウィンで見かける鮮やかなオレンジ色のカボチャ。
あの丸々とした大きな実を見て「美味しそう」と思ったことはありませんか?
ところが、このかぼちゃ、私たちが普段スーパーで見かけるものとは種類が大きく異なります。
◆ペポカボチャ(飾り用)
ハロウィンのランタンに使われるのは、主に「コネチカット・フィールド」などに代表されるペポカボチャの一種です。
皮が薄くてくり抜きやすく、見事なパンプキンオレンジに色づきますが、水分が多く繊維質で、味は淡白。
煮物や天ぷらにしてもあまり美味しくありません
(種はローストしてスナックとして親しまれています)
◆セイヨウカボチャ(食用・日本で主流)
日本の食卓でおなじみの濃い緑色の皮をしたカボチャは、19世紀末に日本へ導入された西洋カボチャ(栗カボチャなど)です。
甘みが強くホクホクとした食感が特徴で、実は果肉の部分にぎゅっと詰まった濃いオレンジ色こそが、β-カロテンの宝庫です。
スイーツから主食、スープまで
世界を見渡すと、カボチャの生産量・消費量で圧倒的なトップを誇るのは中国とインドです。
世界の生産量の半分近くをこの2国が占めており、スパイスを効かせたカレーや炒め物、煮込み料理として日常的に親しまれています。
一方、欧米でのカボチャは季節の風物詩としての存在感が際立ちます。
アメリカやカナダでは、秋から感謝祭にかけて「パンプキンパイ」が欠かせません。
裏ごししたカボチャのピューレにシナモン、ナツメグ、クローブなどのスパイスをたっぷり効かせた味わいは、まさに秋の訪れを告げるソウルフードです。
また、近年日本でも大人気の「パンプキンスパイスラテ」のように、ドリンクやスイーツのフレーバーとしても世界的なブームを巻き起こしています。
イタリアではリゾットの具材や、パスタ(ラビオリ)の詰め物としてチーズと合わせるなど、地域ごとの食文化に根ざした多彩な表情を持っています。
パンプキン・オレンジを楽しむ
古代の魔除けの灯火から、実りの秋を祝うテーブルのごちそうへ。
パンプキンオレンジは、長くて暗い冬を迎える直前、人々が寄り添い合い、笑顔と温もりを分かち合うために欠かせない「命の光」のような色です。
ハロウィンの夜は、かぼちゃの料理やスイーツを楽しんだり、部屋に小さなオレンジの小物を飾ったりして、この陽気な秋のエネルギーを生活に取り入れてみるのも楽しいですね。
この色は、冷たい夜風の中でも、心がぽっと温まるような楽しいひとときを運んでくれるはずです。
カラースクールT.A.A
藤田たかえ でした