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アメジスト~神の悔恨と、透き通る情熱の物語

2026/02/03

アメジスト


酔わせない紫とは?
神の悔恨と、透き通る情熱の物語


2月の誕生石としても愛される「アメジスト(紫水晶)」。

かつてはダイヤモンドと肩を並べるほどの価値を持ち、歴史の表舞台を彩ってきました。


しかし、その美しい紫がどのようにして生まれたのでしょう?

その裏側には、ある神様の「身勝手な怒り」と「深い後悔」が刻まれているんです。


アメジストという名前の語源は、ギリシャ語の amethystos(アメテュストス)。 

その意味は、意外にも「お酒に酔わない」というもの。


なぜ、この透き通るような紫の石に、そんな不思議な名前がつけられたのでしょう?


この色の誕生にまつわる、美しくも残酷なギリシャ神話のお話があるんです。



【神話】酒神バッカスの後悔と、乙女の祈り


ある日、お酒の神様バッカス(ディオニュソス)は、機嫌を損ねる出来事があり、ひどく腹を立てていました。

その怒りは凄まじく、彼は「今から最初に出会った人間を、自分の連れている虎(または豹)に食い殺させてやろう」という恐ろしい誓いを立ててしまいます。


そこへ運悪く通りかかったのが、月の女神ダイアナ(アルテミス)の神殿に仕える美しい乙女、アメジストでした。

バッカスの放った飢えた虎が、今にも彼女に襲いかかろうとしたその瞬間、アメジストは一心に女神ダイアナに助けを求めて祈ります。


乙女の悲鳴を聞きつけた女神ダイアナは、彼女が惨劇に遭う直前、彼女の純潔を守るために、アメジストを一瞬にして「真っ白な水晶(石)」へと姿を変えました。

 虎の牙は届かず、アメジストの命は守られましたが、彼女は透き通った白い石の彫像となってしまったのです。


我に返り、自分の過ちと残酷さに気づいたバッカスは、激しく後悔します。

彼はその白い石の美しさと、自分のせいで命を失うことになった乙女への懺悔(ざんげ)の気持ちから、持っていたブドウ酒(赤ワイン)をその石に注ぎました。


すると、純白だった水晶は吸い込まれるようにワインの色に染まり、透き通った美しい「紫色」へと変化したのです。

これが、私たちが知る宝石「アメジスト」の始まりだと言い伝えられています。



この神話から、アメジストの杯でお酒を飲むと「バッカスの加護により悪酔いしない(理性を保てる)」という迷信が生まれました。
アメジストの語源 amethystos は、ギリシャ語で「酒に酔わない」を意味します。



アメジストが放つ高貴な紫


「赤」の情熱: 荒ぶる神バッカスの激しい感情、生命力、そして溢れ出した後悔。


「青」の静寂: 女神ダイアナの清廉さ、揺るぎない理知、そして月光のような静けさ。


この、情熱(赤)が理知(青)によって研ぎ澄まされた状態こそが、アメジストの持つ石言葉につながります。


1. 「真実の愛」— 酔いしれない、けれど冷めない

それは、バッカスの如き燃え上がるだけの執着(赤)でも、感情を排除した冷徹さ(青)でもありません。

昂(たか)ぶる感情を冷静に見つめ、相手を深く思いやる。

この「情熱と理性の調和」こそが、時代を超えて愛を実らせる力になると信じられてきました。


2. 「心の平和」— 嵐の後の静けさ

神話の中で、激しい怒りの後に訪れた深い静寂。

アメジストが「心の平和」「癒やし」の石とされるのは、荒ぶる感情(赤)を沈静(青)へと導くプロセスそのものを宿しているからです。

 現代を生きる私たちのストレスや焦りという「赤」を、アメジストの「青」が優しく中和し、穏やかな紫の平穏をもたらしてくれます。


3. 「誠実」— 透明な志(こころざし)

バッカスが注いだワインに染まりながらも、アメジストは透明な水晶としての輝きを失いませんでした。

自分の色を持ちながら、濁ることのないその姿は、持ち主の「誠実さ」を守り、自分らしく在ることを助けてくれるといいます。


「赤は動、青は静」
その中間にあるアメジストは、私たちが人生のバランスを取るための『お守り』のような存在です。

しかし、この神話から始まったアメジストの歩みは、やがて王族の王冠や教会の祭壇へと場所を移していきます。
次回のブログでは、権力者がなぜこの紫に執着したのか、というもう一つのアメジストの物語をお話します。

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藤田たかえ でした